民族楽器的な音色のミンミン、デフォルトのCGCチューニングが津軽三味線でよく使う「二上り」と同じこともあって、津軽三味線ぽいことをする人は(私も含め)居ります。3弦の楽器で日本でメジャーなものというと、津軽三味線と双璧をなす沖縄の三線があります。試しにミンミンで三線の曲を弾いてみたところ音色的にも違和感なく、癒しの要素が強く発揮され弾いていて気持ちいいのです。
これは、もっと広まってもいいのでは、、
さて、この記事は、三線ぽいことをミンミンでやって沖縄の気分を味わえるようにすることをコンセプトとし、世にでている沖縄三線用の楽譜や教則動画をミンミンで代用し練習できるようになることを目指します。
具体的には
・セッティング(チューニング)
・沖縄三線の楽譜「工工四」の見方
・簡単な練習曲を弾く
・定番曲「安里屋ユンタ」を講習動画で習う
の流れで解説していきます。
では、始めましょう。
チューニング
沖縄三線のチューニングは、ド・ファ・ド
沖縄三線の調弦(チューニング)のことを「ちんだみ」といいます。
津軽三味線の場合、ド・ソ・ド でしたが、沖縄三線の場合はド・ファ・ド 真ん中の弦をソから一音下げファにします。
デフォルトチューニングの「C G C」から真ん中の弦を下げた場合、「C F C」 となります。
沖縄三線の場合、同じ曲でも弾く人(というか歌う人のキー)によって全体の音の高さの上げ下げをよく行います。「C F C」で弾く教則動画もあれば、「A D A」にしたり「B E B」にしたりする場合もあります。
なので、だいたいの教則動画では最初のほうで「チューニング(ちんだみ)は、〇△〇で、」と指定しますので、それに従ってミンミンのチューニングも合わせてください。
一覧表にすると、こうなります。
本調子のチューニング
左側の数字は、日本の民族楽器会のパターンの決まりのようで、例えば「4の本調子」といったら「C F C」とするとなっており、これは津軽三味線も沖縄三線も共通のようです。
また、「2」のB♭とA#、E♭とD#はそれぞれ同じ音です。楽譜記載のときはB♭が一般的ですが、チューナーではたいがいA#と表示され、教則動画でもA#と説明することが多かったので、カッコで併記してあります。
この、基準の音はどうあれ、「ド ファ ド」のチューニングの合わせ方を「本調子」と言います。(それに対し津軽三味線の「ド ソ ド」は「二上がり」と言います。)
楽譜
沖縄三線の楽譜「工工四」
沖縄三線の楽譜を「工工四(クンクンシー)」といいます。
弦の押さえるところ(勘所)を順番に書いてあるもので、そういう意味ではギターのタブ譜や津軽三味線の文化譜と似ています。(そもそも「タブ譜」の正式名称「タブラチュア譜」は別名「奏法譜」で、その定義は「(いわゆるオタマジャクシの五線ではなく)楽器の押さえるところや叩くところを記したもの」なので、工工四も文化譜も「タブ譜」の一種と言えます。)
違いは、タブ譜や文化譜は横書きなのに対し工工四は縦書き、そしてタブ譜と文化譜は押さえるところを数字で記載しているのに対して、工工四は漢字で記載されています。
工工四の勘所をミンミンのフレットに当てはめると、こうなります。
勘所は6フレットより高いところも存在しますが、たいがいの曲はこれだけで弾けるので、まずはこれだけ覚えましょう。各勘所の上にひらがなで読み仮名を記していますが、通常は漢字だけです。この記事も以降は読み仮名はつけません。
注意すべきは「尺」です。工工四では「尺」と「尺#」を両方とも「尺」と記載してあります。この「尺」はどっちなのかは曲によって変わります。なので、工工四の最初の説明書きや、講習動画の最初の説明でどっちなのかを把握してください。(説明してない動画もありますが、間違ってると弾いてて変な感じになるのでそこで気付きましょう。)
尺#は、人によって「遠い方の尺」「高い方の尺」などと言ったりもします。
この勘所の位置は、基本「暗記」です。やってればすぐ覚えます。それまでは、この図をプリントアウトしたりキャプチャをとったりしておいて、講習動画を見る際手元に置いておくと早く覚えられます。
ちなみに、三線では太い弦を「男弦(ヌージル)」、真ん中の弦を「中弦(ナカジル)」、細い弦を「女弦(ミージル)」と言います。また弦を数字で数える場合、ギターやミンミンは一番細い弦から1弦2弦と数えますが、三線は太い弦から1弦2弦と数えます。
練習曲を弾いてみよう
練習曲「ちょうちょ」を弾いてみよう
では、カンタンな曲で、工工四の見方をおぼえながら弾いてみましょう。
課題曲は童謡「ちょうちょ」の最初のところです。
工工四はこうなります。
今回の「尺」は、5フレットのほうです。
チューニングは本調子ならなんでもいいのですが、とりあえず4の本調子(CFC)にしましょう。
右上から下に向かって弾きます。
一マスが4分音符の長さです。今回の工工四では一マス=4分音符ですが、工工四によっては8分音符のものもあります。また、枠がなくただ勘所が縦に並んでいるだけの工工四もありました。
「〇」は休符です。
「工」とか「中」とかの勘所の右側に書いてあるひらがなは、歌詞です。
右上から一音ずつ弾くと、ちょうちょのメロディ-になります。できましたでしょうか?
8分音符の表現方法
ワクの中に一音ずつだと、4分音符しか使えません。その半分の8分音符を表現したい場合は、ワクとワクの間の線上に勘所を書きます。
簡単な練習曲を作りました。出てくる勘所は、四、工、六、七の4つだけです。カンタンですが、沖縄の癒しの感じが出せますので、ゆっくり弾いてみてください。
2列目の上から2拍目の「工」と3拍目の「七」の間に、「六」を入れます。
こうすると、3拍目の「七」のタイミングは動かず、その前の「工」と「六」が半分の8分音符の長さになって、ふたつの音で一拍分になります。
ここまで理解できれば準備完了です。どんな曲でも基本的な考え方は共通しており、違うのは難易度だけです。トッカカリはできました。YouTubeで「三線」「練習」「初心者」などで検索すると、弾き方の講習動画がたくさん出てくるので、その中から弾きたい曲を選んでください。何度も練習すれば、いずれ先生と同じように弾くこともできるでしょう。
講習動画にあわせて弾いてみる
「安里屋ユンタ」を動画で習ってみよう
今回は三線の定番曲、ゆったり弾いて癒される「安里屋ユンタ(あさどやゆんた)」を、屋富祖 茜(やふそ あかね)さんの動画に習って弾いてみましょう。
ほぼ全ての三線曲は唄があって、三線はその伴奏です。この安里屋ユンタも歌モノです。歌いながら弾ければいいのですが、最初は難しいので三線パートだけに集中しましょう。ただし、歌メロは覚えて、弾かずに歌だけで歌えるようになっておいたほうが理解が早いしやってて楽しいと思います。歌詞はググれば出てきます。歌メロは誰の動画も基本的には同じですが、人によりちょっとタメたりクセがあったりします。この動画の最初に屋富祖さんが歌っているお手本は素直でクセが少ないので、参考にするのがよいかと思います。
(この動画は、屋富祖さんの「三線講座」シリーズ(今のところ)全8作の4作目です。もしいきなり安里屋ユンタだと難しい場合は、シリーズの#1から#3までをやってみてください。)
今回のチューニングは2の本調子(A# D# A# = B♭ E♭ B♭)です。
工工四は、こうなります。
曲の構成は、イントロ (間奏と同じ)と 歌 を繰り返します。イントロ前半、イントロ後半、歌前半、歌後半の4ブロック覚えれば繰り返して一曲できあがります。
ミンミンでこの動画を見る際、一つ注意点があります。タブ譜を使って押さえるところを番号で説明をしていますが、その数字は三線に貼るシールの番号で、ミンミンのフレットと同じではないので注意です。(「津軽三味線の10のツボはミンミンの12フレットと同じ」みたいなことです)。その下に書いてある勘所の「合」とか「中」とかを見てください。
そして、ミンミンで弾くとこんな感じになります。
唄は初音ミクです。
さて、安里屋ユンタ、弾けるようになりましたでしょうか?
他の教則動画もチューニングさえ合っていれば先生と同じ音程でそのままミンミンでも弾けますので、あとは繰り返し(どの動画も見本をゆっくり丁寧に弾いてくれています)覚えていきましょう。
あとがき
今回、ずっとやりたかったミンミンで沖縄三線の曲を弾く方法を作ってみました。
とりあえずこれでそれっぽいのは弾けるのですが、もっと説得力をつけるためにどんな音色が合うかはまた考えていきます。
では、また、